株式会社伍魚福 代表取締役社長

読書メモ2007.08.18(Sat)日本人の矜持


「国家の品格」で有名な藤原正彦さんの対談集です。
「矜持」という言葉自体も日常的に使うことの少ない言葉ですが、今の日本人が忘れかけているもののひとつではないかと思います。
広辞苑によれば、

矜恃【きょうじ】
自分の能力を信じていだく誇り。自負。プライド。「矜持」とも書く。「横綱としての-」「-を保つ」

2年ほど前の7月、確か名古屋で開かれた日本青年会議所の会合(サマーコンファレンス)で藤原正彦さんの講演を聞く機会があり、それ以来氏の教育論に共感を覚えています。
数学者でありながら「小学校において重要なのは一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数」とおっしゃっていますが、まさにその通りだと思います。読書の大切さ、日本語の大切さ、日本人としての美意識の大切さ、武士道精神・・・。日本の素晴らしさ、誇り・・・戦後の教育に置き去りにされてきたことがあまりに大きいと思います。

乱読でも濫読でも、とにかくたくさん本を読むことで人間性、教養が養われ、全ての基礎になるのです。

私もそれなりにたくさんの本を読んでいるつもりですが、読みっぱなしということが多いのが反省点です。
たまにこうやってブログに読書メモを書くことで少しでも記録に(記憶に?)残せればいいなと思っています。

私が今回この本を読んで、参考になったことを少しメモしておきます(182頁、ビートたけしさんとの対談より)。

それは、数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞をとったスタンフォード大学の大天才のエピソードです。
その人は、どんな問題を見せられても、すぐに「Oh! It’s so easy! 」(そんなの簡単だね!)というそうです。それで、たいてい解けないそうです。しかし、そう思わないと人間は脳みそが働かない。難しい問題をパッと出されると委縮する。だから、まず「Oh! It’s so easy! 」で自分を勇気づけるのだそうです。天才でもそれが必要なんです。

天才でさえ、簡単だ!と言い聞かせないと能力を発揮できないのだから、普通の人はなおさらそう思わないとやっていけないでしょう。

自創経営のセミナーでも「難しい」という言葉をつかわないようにしようという話がありました。難しいと思ってしまうと手を付けない(やり始めない)のでいつまでたってもできないのです。そこで「難しい」という言葉を使わないで「やり遂げるのに時間がかかる」というように思うようにしようという話です。
簡単なこと=すぐできること、難しいこと=時間のかかること、ということなのです。

絶対出来ると信じて、時間がかかってもやり続ける、できるまでやる、やりとおす。

やる前から「そんなことできない」、「そんなこと無理だ」、「それは難しい」というようなことを言っていては進歩は止まります。

常にポジティブに、実行するときは楽観的に愚直にやり続ける姿勢、風土を社内にも作り上げていきたいと思っています。