株式会社伍魚福 代表取締役社長

読書メモ2008.05.07(Wed)重大事件に学ぶ「危機管理」


元警察官僚の佐々淳行(さっさあつゆき)さんの著書です。
「クライシス・マネジメント」を「危機管理」と訳した方です。

「東大安田講堂事件」、「連合赤軍あさま山荘事件」などでは警備幕僚長としてまさしく危機管理にあたられた方で、その考え方については、ビジネス界にも通じるものがあります。

さまざまな「危機」の事例とそれに対応した当事者の実例を挙げ、その判断についてさまざまな評価を明快になさっています。
良い例として挙げておられるものに、阪神大震災のときの日本銀行神戸支店長だった遠藤勝裕さんの実例があります。

私も報道で日本銀行の神戸支店とさくら銀行(現在の三井住友銀行)本店営業部に各銀行の共同窓口を置き、預金の払い戻しを行っていた記憶がありましたが、これが迅速にかつ平穏に行われたのは遠藤支店長の判断によるものだったそうです。
預金通帳がなくても払い戻しをする、ハンコがなくても拇印でOK、定期預金の解約にも即対応、焼けた紙幣は交換などの緊急対策を決めるとともに実行された遠藤支店長の判断は著者の佐々さんも高く評価されています。

「日銀券(現金)の供給を絶やさぬことである。物があってお金がないという状態が暴動や略奪を誘発する」との判断を行い、決めたことを淡々と実行されました。

震災後の市場で、スーパーで、コンビニで、本屋さんで、人々がきちんとお金を払って買い物をし、商品を分けあったりしていたという美談の裏には、そのお金をきちんと供給した方の判断があったのです。

佐々さんは「何かになりたい人」ではなく「何かをしたい人」になれ、とおっしゃっています。
ただ単にいい役職に就きたい、いい会社に入りたい、昇進したい・・・というのではなく、どんな仕事をしたいのか、そしてどんな成果を出したいと考えているのか、さらにそれをいかに成し遂げるのかということが大事であるという意味だと理解しました。

伍魚福は「ひょうご経営革新賞奨励賞」をいただきましたが、この例で言うと、「賞をとりたい会社」ではなく、「良い会社にするための活動を継続してやり続け、成果をだせる会社」たれということになるのでしょうか。

「私がやらずに誰がやる」という”気概”を持つことがまた大事であるとも言っておられます。

私自身も何をやるか、とにかく「行動」を重視して取り組んでいきたいと考えています。