株式会社伍魚福 代表取締役社長
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経営について読書メモ2018.04.29(Sun)「日本の企業家 小倉昌男」沼上幹著
PHP経営叢書「日本の企業家 小倉昌男」沼上幹著。
ヤマト運輸で「宅急便」を開発した小倉さんの評伝です。
宅急便の開発ストーリーや小倉さんの経営については、ご自身の著書「経営学」や日本経済新聞の「私の履歴書」、各種経済紙誌の記事などで過去にも幾度となく読ませていただきました。
ヤマト運輸を引退されてからの福祉事業への取り組みもすばらしく、私の尊敬する経営者のひとりでもあります。
著者の方は、一橋大学教授で副学長の沼上幹さん。
小倉さんの経営手法を精緻に分析された第二部「論考」は圧巻でした。
戦略思考力、組織洞察力、学習・進化能力という項目に分けて説明をされているのですが、小倉さんの著作、社内報記事、講演録などの生の声に基づいて構成されており、わかりやすく、大変示唆に富んでいます。
顧客志向を現場のひとり一人に浸透させるキーワードとなった「サービスが先、利益は後」というキーワード。
当時ヤマト運輸が陥っていた悪い循環から善い循環に転換する起点にもなっています。
伍魚福もエンターテイニングスパイラルという「善い循環」を回すのが大きな目標です。
「経営の目的や目標を明確にしたうえで、仕事のやり方を細かく規定せずに社員に任せ、自分の仕事を責任を持って遂行してもらう」という「全員経営」。
これは伍魚福が目指している部門経営者を育てようという「自創経営」と全く同じ考え方です。
人間でいえば「自律神経」。
「頭が一々命令しなくても各々の期間がひとりでに上手く働く」ということでもあります。
小倉さんが人事制度に悩まれていたということも意外でした。
日本式の長期雇用を維持したまま実力主義を取り入れる、ということを基本的な考え方にされているのですが、そのたとえが秀逸です。
「アメリカの経営はプロ野球であり、日本の経営は学生野球である」
「グラウンド整備や球拾いの部員が自分の任務をしっかり果たし、卒業するとき、我が人生に悔いなしと言って誇りをもって卒業していく」
仕事の「おもしろさ」について。
「好きな仕事でも嫌いな仕事でも、目標に向かって進むプロセスの中には、『自分らしさ』のようなものがにじみ出るものだ。将棋やチェスに戦法がいろいろあるのと同じで、目標へのアプローチは人によって違う。つまり、仕事を楽しむ道筋はひとつではなく、人の数だけあるということだ。そこに自分ならではの価値を見出すことができれば、どんな仕事もおもしろがることができるはずなのである」
伍魚福も神戸で一番おもしろい会社を目指しています。ひとり一人の「おもしろい」と感じるポイントは違うはず。どうやってこれを見つけてもらえるようにするかが課題です。
たくさんの気づきをいただくことができました。
もう一度読み返し、伍魚福の改革にも活用したいと考えています。